unico RICK arm chair 生地の張替えは出来る?全て自分でやってみました。
数年前に購入し、主にPCデスク用に使っていたunico(ウニコ)のRICK(リック)アームチェアが今年に入って突然生地がボロボロと剥がれてしまいました。
そもそも合成皮革の生地だったので、長年使用する中で加水分解を起こすのも時間の問題だと思ってはいましたが。座る度、粉状の生地がボロボロと床に落ち、服にも付着するようになりました。
さてここで修理に出すか、粗大ゴミとして出してしまうかという選択に迫られました。メーカーの保証期間は購入から1年です。
では修理に出したらどうなるか…購入価格(約25,000円)と同じくらいの金額を出せば直せるらしいです。(すずきの家調べ)
ここでちょっとひらめき。どうせ手放すなら一度分解して構造を見てみたいと思いました。そして分解してみた結果で自分で生地の張替えができるか検討してみようという考えに至りました。
その結果はいかに!リックアームチェアの張替えに挑戦した全貌をお伝えします。



目次
unico RICK arm chair とは
unico RICK arm chair ですが、色は確かこのブラックとブラウンの2色展開で生地はいずれも合成皮革となっています。
同シリーズでアーム無しのチェアもありますが、断然アームチェアのシルエットが好みでこちらを購入しました。
構造部分は天然木で、脚部分はオーク材となっています。
株式会社ミサワの商品で、原産国はベトナムです。
購入価格は約25,000円でした。
すずき家にはデスクトップタイプのPCがあるので、そのPC作業用椅子として使ってきました。

今となっては、この金額を出すなら本革かファブリックの生地の椅子、もしくは木製の椅子を選ぶのになぁ…とちょっと後悔しています。
RICK arm chair 分解しました
さて、分解すると決まったら黙々と作業をすすめるのみです。まずは裏面の不織布を全て取り外し、椅子本体と合皮を固定している大量のタッカー針を抜いていきました。使用した道具はマイナスドライバーとペンチです。なかなか硬い部分もありましたが、きれいに取り除くことができました。
座面と椅子本体を繋いでいる(と思われる)ビスを数個取り外しました。(今気付きましたが、組み直す際元に戻すのを失念しました!まぁきっと大丈夫…)
椅子本体から座面の板を無理やり目に取り外しました。座面の板がペラペラでびっくりしました。
次にウレタンをびりびりむしり取りました。接着剤で貼られていました。綿も少しだけでてきました。
分解に使った道具 スタート時はこんな感じ タッカーを全て抜きました 少しだけビスも取り外し ちょっと複雑な構造です 座面部分の取り外し ウレタンをむしり取りました 木くずやウレタンの粉を掃除 取り外したウレタンと綿
分解してみた結果、この木のなんとも言えない丸みとしっかりとした構造を見て…生地の張替えを決意しました!
修理の前の事前準備
それでは実際に生地の張替え修理にかかる前の事前準備として、道具と材料を書き出し、YouTubeの椅子の張替え動画を見ました。その準備の詳細を紹介します。

用意した道具と材料
- タッカー
- タッカー針(かなり失敗打ちして、買い足しました)
- とんかち(タッカーを打ったあとにさらに打込む用に使いました)
- クラフト紙(900×1,200mm):2枚使用
- ミシン
- 新しい生地(137cm巾):150cm
- チップウレタン(500×500×20mm厚):1枚
- ウレタン(600×600×10mm厚):7枚
- 油性マジック
- 接着剤(ウレタン接着用):3本使用
- 不織布:なかなか売ってなかったのでカインズホームの枕干しを代用しました。
参考にした動画
椅子の張替えの動画を色々探して観ましたが、一般の人がDIYで張替えをする場合座面部分のみの場合がほとんどみたいです。
RICK arm chair 修理スタート
新しい生地とウレタン以外の材料と道具はほとんど家にあるもので賄えましたが、生地を注文した時から後戻りできないというか、有言実行で夢中になって作業しました。
手順その1:生地を分解&型取り
元の合成皮革の生地をリッパ―を使って丁寧に分解しました。次にその生地をクラフト紙に広げて型を全てとりました。
クラフト紙をカットしたものを新しい生地の上に並べて型を取りました。その際どの部分の生地かを必ず記入していきました。
この型は縫い代部分を含んだものなので、型通りに生地を裁断しました。
元の生地をリッパ―で丁寧に分解 クラフト紙に型取り 新しい生地を型に合わせて裁断
手順その2:生地の縫い合わせ
曲線部分が多く、ちょっと苦労しましたが無事全てのパーツを縫い合わせることができました。こだわったポイントとしては、抑えのステッチを入れたところです。生地の収まりが良くなります。
手順その3:座面部の完成
まずは椅子本体より簡単そうな座面部分を作ることにしました。座面は座り心地を重視してウレタン2枚に加えて少し固めで弾力のあるウレタンチップを重ねました。
- ウレタンチップは座面板と同じ大きさにカットして接着剤で接着します。(写真01)
- 座面板をウレタンの上に置いて、約3㎝(ウレタンチップと座面板を包み込めるサイズ)大きく線を書きます。(写真02・03)
- 座面板→ウレタンチップ→ウレタン2枚の順番に接着剤で止めたものを、生地で包みぎゅっと生地を引っ張りながら生地と座面板をタッカーで止めていきます。(写真04)
- 座面の完成です。抑えのステッチがここで効いてきます。(写真05・06)
写真01 写真02 写真03 写真04 写真05 写真06
ふわふわの座面の完成でかなりテンションがあがりました。
手順その4:ウレタン貼り
ついに椅子本体のウレタン貼りにとりかかります。ここでは、もう感覚でしかありませんでした。接着剤だけでは固定することが難しかったので、裏面は少しタッカー止めしました。
手順その5:椅子本体の完成
椅子本体の全体にウレタンを張り付け終わり、いよいよ生地を被せていきます。結構適当に縫っていたので無理やり生地を引っ張って被せた感じです。指が痛かったですが、なるべくしわが出ないよう渾身の力で生地を引っ張りながらタッカー止めしました。
そしてついに椅子本体と座面部分を合わせました。これもかなりきつかったですが力をかけてねじ込みました。
ウレタンなしの椅子に生地を被せた所 なんとか入ったけど、縫い目がずれる なんとかここまできた 両サイドの生地は縫い合わせず放置 背もたれの生地のしわは直せなかった
手順その6:生地を一部手縫い&裏面の不織布貼り
先ほど縫わずにそのままにしていた、背もたれ後ろ部分とアーム部分を繋ぐ両サイドの生地をちくちく地道に手縫いしました。
かなり硬い生地ということもあり、太めのナイロン製の糸と短めの手縫い針、指ぬきを100均で買ってきて作業しました。
最後に椅子の裏のごちゃごちゃを隠す、黒の不織布をタッカーで止めていきました。RICK arm chair は脚が接着されていて取れない構造なので不織布を張るのもちょっと面倒でした。
手縫い部分です 近くで見ないとわからない感じ タッカー針を黒の油性ペンで塗りました 脚部分に穴を開けてなんとか不織布を張りました
ついに椅子の張替え完了
長きにわたり挑戦してきた、unicoのRICK arm chair の生地の張替えが終了しました。
かかった時間はというと、夏に思い立って分解してから3か月ほど経ちましたが実際の作業時間でいうと、1週間もあればできるかなといった印象です。(子供が居ない時を狙って作業しているので)

出来上がった椅子がコレ!
一部生地が寄れているところや、角度によっては裏の不織布が少し見えるなどありますが…なんとか完成しました!
背もたれのしわ気になる ちょっといびつです 丸っこいシルエットは健在 コロンとして可愛い こだわりのステッチは本当にひと手間かけた甲斐あり
修理にかかった費用
今回実際に修理にかかった金額の概算です。
- 生地:170円/mを150cm=2,550円
- ウレタン:440円×7枚=3,080円
- ウレタンチップ:275円
- タッカー針:270円
- クラフト紙:180円
- 接着剤:108円×3=324円
- 手縫い糸・針・指ぬき:324円
合計7,003円でした。
修理してみての感想
今回思い立ってunicoのRICK arm chair の生地の張替えに挑戦しました。
元々家具職人に憧れて(その職に応募しようと本気で悩んでいた過去あり)いたということも影響しています。
ただ、出来上がりはプロの仕上がりとは程遠いものです。次だめになったとき、生地の張替えをするかと言われると正直躊躇します。かなりの気合いと根性が必要な作業だと感じましたので。
ただ、座面部分だけの交換なら今回の一連の作業を通して得たノウハウさえあればOKなので、かなりの自信を持てるようになりますよ。
小さい丸椅子やダイニングチェアの座面部分を好きな生地に張り替える作業は、これなら楽しんでできそうです。そういう点ではかなりの収穫を得たと言えます。
職人になったつもりで作業自体はかなり楽しかったです。
